奢らない男
200X年
ぼくは、ある会社の役員と仲が良かった。
めちゃめちゃ急成長している会社で、イメージとしては、今で言うLINE社とかに相当するだろう。
彼は、何故だか、僕のことを気に入ってくれて、色んな所に連れまわしてくれた。就職のアドバイスもしてくれたし、トップモデル達(山〇優などなど)を紹介してくれたりもした。
彼はとても気前が良い男だったのだ。
ある日、とても良いお店に飲みに行き、会計を済ませてくれた彼は、最後に「1000円だけ頂戴」と言った。
僕は、快く払った。
そして、こう付け加えた。
「オマエ、これから社会人になって、金持つようになると思うけど、全額奢るってことはしない方が良いよ。」
僕は聞いた。
「え?なんでですか?金持っているなら、奢ってあげた方が、カッコ良くないですか?」
彼は答えた。
「偉くなればなるほど、周りに人ってのはたくさん集まってくるんだよ。
そんな中で、俺の話に興味があるのか、美味い物が食えるから集まってくるのか、わからないだろ。
だから、絶対に奢ったりはしないで、相手にも少しは金を払わせるんだよ。
でないと、気づいた時には、どーでも良い奴らに囲まれてることになるぞ。」
この話を聞いて、僕は、決心した。
奢るのは止めよう。
お金を出すのは、何か感謝を伝える時
だけにしようと。